目次
- 1 看護師の特定行為研修制度とは?
- 2 看護師の特定行為とは?
- 2.1 特定行為の概要
- 2.1.1 経口用気管チューブ又は経鼻用気管チューブの位置の調整
- 2.1.2 侵襲的陽圧換気の設定の変更
- 2.1.3 非侵襲的陽圧換気の設定の変更
- 2.1.4 人工呼吸管理がなされている者に対する鎮静薬の投与量の調整
- 2.1.5 人工呼吸器からの離脱
- 2.1.6 気管カニューレの交換
- 2.1.7 一時的ペースメーカの操作及び管理
- 2.1.8 一時的ペースメーカリードの抜去
- 2.1.9 経皮的心肺補助装置の操作及び管理
- 2.1.10 大動脈内バルーンパンピングからの離脱を行うときの補助の頻度の調整
- 2.1.11 心嚢のうドレーンの抜去
- 2.1.12 低圧胸腔内持続吸引器の吸引圧の設定及びその変更
- 2.1.13 胸腔ドレーンの抜去
- 2.1.14 腹腔ドレーンの抜去(腹腔内に留置された穿せん刺針の抜針を含む。)
- 2.1.15 胃ろうカテーテル若しくは腸ろうカテーテル又は胃ろうボタンの交換
- 2.1.16 膀胱ろうカテーテルの交換
- 2.1.17 中心静脈カテーテルの抜去
- 2.1.18 末梢留置型中心静脈注射用カテーテルの挿入
- 2.1.19 褥じょく瘡そう又は慢性創傷の治療における血流のない壊死組織の除去
- 2.1.20 創傷に対する陰圧閉鎖療法
- 2.1.21 創部ドレーンの抜去
- 2.1.22 直接動脈穿せん刺法による採血
- 2.1.23 橈とう骨動脈ラインの確保
- 2.1.24 急性血液浄化療法における血液透析器又は血液透析濾ろ過器の操作及び管理
- 2.1.25 持続点滴中の高カロリー輸液の投与量の調整
- 2.1.26 脱水症状に対する輸液による補正
- 2.1.27 感染徴候がある者に対する薬剤の臨時の投与
- 2.1.28 インスリンの投与量の調整
- 2.1.29 硬膜外カテーテルによる鎮痛剤の投与及び投与量の調整
- 2.1.30 持続点滴中のカテコラミンの投与量の調整
- 2.1.31 持続点滴中のナトリウム、カリウム又はクロールの投与量の調整
- 2.1.32 持続点滴中の降圧剤の投与量の調整
- 2.1.33 持続点滴中の糖質輸液又は電解質輸液の投与量の調整
- 2.1.34 持続点滴中の利尿剤の投与量の調整
- 2.1.35 抗けいれん剤の臨時の投与
- 2.1.36 抗精神病薬の臨時の投与
- 2.1.37 抗不安薬の臨時の投与
- 2.1.38 抗癌剤その他の薬剤が血管外に漏出したときのステロイド薬の局所注射及び投与量の調整
- 2.1 特定行為の概要
- 3 特定行為ができる看護師がいることによるメリット
- 4 看護師の特定行為研修制度における問題点
看護師の特定行為研修制度とは?
看護師の特定行為研修制度とは医師の判断を待たずに一定の診療補助ができる看護師を育てるための研修制度です。近年の医師不足に対応するために国が導入した研修制度です。
看護師がある程度の診療補助ができることで医療の効率化や医師不在による医療の偏在化を解消することが期待されている研修制度です。
看護師の特定行為とは?
看護師の特定行為とは、呼吸器の取り外しや点滴を投与する量の調整、経口用気管チューブまたは経鼻用気管チューブの位置調整、一時的ペースメーカーの操作及び管理など38の行為があります。特定行為研修制度を超えると医師の指示のもとという制約はあるものの、看護師が特定の行為を行うことができるようになります。医師不足が予想される地域での活躍や医師不足の問題を軽減することが期待されています。
ただし、法律的に『特定看護師』という資格ができたわけではありません。あくまで研修制度であり、『特定行為に関わる看護師の研修制度』ということになります。
また診断や医療行為そのもののを行うことはできず、あくまでも特定行為として定められているものです。看護師が行えるのは診療の補助であり、特定行為は以下の38の行為に限られています。
厚生労働省のページによると38の行為は以下のように定められています。
特定行為の概要
経口用気管チューブ又は経鼻用気管チューブの位置の調整
医師の指示の下、手順書により、身体所見(呼吸音、一回換気量、胸郭の上がり等)及び検査結果(経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)、レントゲン所見等)等が医師から指示された病状の範囲にあることを確認し、適切な部位に位置するように、経口用気管チューブ又は経鼻用気管チューブの深さの調整を行う。
侵襲的陽圧換気の設定の変更
医師の指示の下、手順書により、身体所見(人工呼吸器との同調、一回換気量、意識レベル等)及び検査結果(動脈血液ガス分析、経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)等)等が医師から指示された病状の範囲にあることを確認し、酸素濃度や換気様式、呼吸回数、一回換気量等の人工呼吸器の設定条件を変更する。
非侵襲的陽圧換気の設定の変更
医師の指示の下、手順書により、身体所見(呼吸状態、気道の分泌物の量、努力呼吸の有無、意識レベル等)及び検査結果(動脈血液ガス分析、経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)等)等が医師から指示された病状の範囲にあることを確認し、非侵襲的陽圧換気療法(NPPV)の設定条件を変更する。
人工呼吸管理がなされている者に対する鎮静薬の投与量の調整
医師の指示の下、手順書により、身体所見(睡眠や覚醒のリズム、呼吸状態、人工呼吸器との同調等)及び検査結果(動脈血液ガス分析、経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)等)等が医師から指示された病状の範囲にあることを確認し、鎮静薬の投与量の調整を行う。
人工呼吸器からの離脱
医師の指示の下、手順書により、身体所見(呼吸状態、一回換気量、努力呼吸の有無、意識レベル等)、検査結果(動脈血液ガス分析、経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)等)及び血行動態等が医師から指示された病状の範囲にあることを確認し、人工呼吸器からの離脱(ウィーニング)を行う。
気管カニューレの交換
医師の指示の下、手順書により、気管カニューレの状態(カニューレ内の分泌物の貯留、内腔の狭窄の有無等)、身体所見(呼吸状態等)及び検査結果(経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)等)等が医師から指示された病状の範囲にあることを確認し、留置されている気管カニューレの交換を行う。
一時的ペースメーカの操作及び管理
医師の指示の下、手順書により、身体所見(血圧、自脈とペーシングとの調和、動悸の有無、めまい、呼吸困難感等)及び検査結果(心電図モニター所見等)等が医師から指示された病状の範囲にあることを確認し、ペースメーカの操作及び管理を行う。
一時的ペースメーカリードの抜去
医師の指示の下、手順書により、身体所見(血圧、自脈とペーシングとの調和、動悸の有無、めまい、呼吸困難感等)及び検査結果(心電図モニター所見等)等が医師から指示された病状の範囲にあることを確認し、経静脈的に挿入され右心室内に留置されているリードを抜去する。抜去部は、縫合、結紮閉鎖又は閉塞性ドレッシング剤の貼付を行う。縫合糸で固定されている場合は抜糸を行う。
経皮的心肺補助装置の操作及び管理
医師の指示の下、手順書により、身体所見(挿入部の状態、末梢冷感の有無、尿量等)、血行動態(収縮期圧、肺動脈楔入圧(PCWP)、心係数(CI)、混合静脈血酸素飽和度(SvO2※)、中心静脈圧(CVP)等)及び検査結果(活性化凝固時間(ACT)等)等が医師から指示された病状の範囲にあることを確認し、経皮的心肺補助装置(PCPS)の操作及び管理を行う。 ※:「v」の上に「-」がつく
大動脈内バルーンパンピングからの離脱を行うときの補助の頻度の調整
医師の指示の下、手順書により、身体所見(胸部症状、呼吸困難感の有無、尿量等)及び血行動態(血圧、肺動脈楔入圧(PCWP)、混合静脈血酸素飽和度(SvO2※)、心係数(CI)等)等が医師から指示された病状の範囲にあることを確認し、大動脈内バルーンパンピング(IABP)離脱のための補助の頻度の調整を行う。※:「v」の上に「-」がつく
心嚢のうドレーンの抜去
医師の指示の下、手順書により、身体所見(排液の性状や量、挿入部の状態、心タンポナーデ症状の有無等)及び検査結果等が医師から指示された病状の範囲にあることを確認し、手術後の出血等の確認や液体等の貯留を予防するために挿入されている状況又は患者の病態が長期にわたって管理され安定している状況において、心嚢のう部へ挿入・留置されているドレーンを抜去する。抜去部は、縫合、結紮閉鎖又は閉塞性ドレッシング剤の貼付を行う。縫合糸で固定されている場合は抜糸を行う。
低圧胸腔内持続吸引器の吸引圧の設定及びその変更
医師の指示の下、手順書により、身体所見(呼吸状態、エアリークの有無、排液の性状や量等)及び検査結果(レントゲン所見等)等が医師から指示された病状の範囲にあることを確認し、吸引圧の設定及びその変更を行う。
胸腔ドレーンの抜去
医師の指示の下、手順書により、身体所見(呼吸状態、エアリークの有無、排液の性状や量、挿入部の状態等)及び検査結果(レントゲン所見等)等が医師から指示された病状の範囲にあることを確認し、手術後の出血等の確認や液体等の貯留を予防するために挿入されている状況又は患者の病態が長期にわたって管理され安定している状況において、胸腔内に挿入・留置されているドレーンを、患者の呼吸を誘導しながら抜去する。抜去部は、縫合又は結紮閉鎖する。縫合糸で固定されている場合は抜糸を行う。
腹腔ドレーンの抜去(腹腔内に留置された穿せん刺針の抜針を含む。)
医師の指示の下、手順書により、身体所見(排液の性状や量、腹痛の程度、挿入部の状態等)等が医師から指示された病状の範囲にあることを確認し、腹腔内に挿入・留置されているドレーン又は穿せん刺針を抜去する。抜去部は、縫合、結紮閉鎖又は閉塞性ドレッシング剤の貼付を行う。縫合糸で固定されている場合は抜糸を行う。
胃ろうカテーテル若しくは腸ろうカテーテル又は胃ろうボタンの交換
医師の指示の下、手順書により、身体所見(ろう孔の破たんの有無、接着部や周囲の皮膚の状態、発熱の有無等)等が医師から指示された病状の範囲にあることを確認し、胃ろうカテーテル若しくは腸ろうカテーテル又は胃ろうボタンの交換を行う。
膀胱ろうカテーテルの交換
医師の指示の下、手順書により、身体所見(ろう孔の破たんの有無、接着部や周囲の皮膚の状態、発熱の有無等)等が医師から指示された病状の範囲にあることを確認し、膀胱ろうカテーテルの交換を行う。
中心静脈カテーテルの抜去
医師の指示の下、手順書により、身体所見(発熱の有無、食事摂取量等)及び検査結果等が医師から指示された病状の範囲にあることを確認し、中心静脈に挿入されているカテーテルを引き抜き、止血するとともに、全長が抜去されたことを確認する。抜去部は、縫合、結紮閉鎖又は閉塞性ドレッシング剤の貼付を行う。縫合糸で固定されている場合は抜糸を行う。
末梢留置型中心静脈注射用カテーテルの挿入
医師の指示の下、手順書により、身体所見(末梢血管の状態に基づく末梢静脈点滴実施の困難さ、食事摂取量等)及び検査結果等が医師から指示された病状の範囲にあることを確認し、超音波検査において穿せん刺静脈を選択し、経皮的に肘静脈又は上腕静脈を穿せん刺し、末梢留置型中心静脈注射用カテーテル(PICC)を挿入する。
褥じょく瘡そう又は慢性創傷の治療における血流のない壊死組織の除去
医師の指示の下、手順書により、身体所見(血流のない壊死組織の範囲、肉芽の形成状態、膿や滲出液の有無、褥じょく瘡そう部周囲の皮膚の発赤の程度、感染徴候の有無等)、検査結果及び使用中の薬剤等が医師から指示された病状の範囲にあることを確認し、鎮痛が担保された状況において、血流のない遊離した壊死組織を滅菌ハサミ(剪刀)、滅菌鑷子等で取り除き、創洗浄、注射針を用いた穿せん刺による排膿等を行う。出血があった場合は圧迫止血や双極性凝固器による止血処置を行う。
創傷に対する陰圧閉鎖療法
医師の指示の下、手順書により、身体所見(創部の深さ、創部の分泌物、壊死組織の有無、発赤、腫脹、疼とう痛等)、血液検査結果及び使用中の薬剤等が医師から指示された病状の範囲にあることを確認し、創面全体を被覆剤で密封し、ドレナージ管を接続し吸引装置の陰圧の設定、モード(連続、間欠吸引)選択を行う。
創部ドレーンの抜去
医師の指示の下、手順書により、身体所見(排液の性状や量、挿入部の状態、発熱の有無等)及び検査結果等が医師から指示された病状の範囲にあることを確認し、創部に挿入・留置されているドレーンを抜去する。抜去部は開放、ガーゼドレナージ又は閉塞性ドレッシング剤の貼付を行う。縫合糸で固定されている場合は抜糸を行う。
直接動脈穿せん刺法による採血
医師の指示の下、手順書により、身体所見(呼吸状態、努力呼吸の有無等)及び検査結果(経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)等)等が医師から指示された病状の範囲にあることを確認し、経皮的に橈とう骨動脈、上腕動脈、大腿動脈等を穿せん刺し、動脈血を採取した後、針を抜き圧迫止血を行う。
橈とう骨動脈ラインの確保
医師の指示の下、手順書により、身体所見(呼吸状態、努力呼吸の有無、チアノーゼ等)及び検査結果(動脈血液ガス分析、経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)等)等が医師から指示された病状の範囲にあることを確認し、経皮的に橈とう骨動脈から穿せん刺し、内套針に動脈血の逆流を確認後に針を進め、最終的に外套のカニューレのみを動脈内に押し進め留置する。
急性血液浄化療法における血液透析器又は血液透析濾ろ過器の操作及び管理
医師の指示の下、手順書により、身体所見(血圧、体重の変化、心電図モニター所見等)、検査結果(動脈血液ガス分析、血中尿素窒素(BUN)、カリウム値等)及び循環動態等が医師から指示された病状の範囲にあることを確認し、急性血液浄化療法における血液透析器又は血液透析濾ろ過装置の操作及び管理を行う。
持続点滴中の高カロリー輸液の投与量の調整
医師の指示の下、手順書により、身体所見(食事摂取量、栄養状態等)及び検査結果等が医師から指示された病状の範囲にあることを確認し、持続点滴中の高カロリー輸液の投与量の調整を行う。
脱水症状に対する輸液による補正
医師の指示の下、手順書により、身体所見(食事摂取量、皮膚の乾燥の程度、排尿回数、発熱の有無、口渇や倦怠感の程度等)及び検査結果(電解質等)等が医師から指示された病状の範囲にあることを確認し、輸液による補正を行う。
感染徴候がある者に対する薬剤の臨時の投与
医師の指示の下、手順書により、身体所見(尿混濁の有無、発熱の程度等)及び検査結果等が医師から指示された病状の範囲にあることを確認し、感染徴候時の薬剤を投与する。
インスリンの投与量の調整
医師の指示の下、手順書(スライディングスケールは除く)により、身体所見(口渇、冷汗の程度、食事摂取量等)及び検査結果(血糖値等)等が医師から指示された病状の範囲にあることを確認し、インスリンの投与量の調整を行う。
硬膜外カテーテルによる鎮痛剤の投与及び投与量の調整
医師の指示の下、手順書により、身体所見(疼とう痛の程度、嘔気や呼吸困難感の有無、血圧等)、術後経過(安静度の拡大等)及び検査結果等が医師から指示された病状の範囲にあることを確認し、硬膜外カテーテルからの鎮痛剤の投与及び投与量の調整を行う(患者自己調節鎮痛法(PCA)を除く)。
持続点滴中のカテコラミンの投与量の調整
医師の指示の下、手順書により、身体所見(動悸の有無、尿量、血圧等)、血行動態及び検査結果等が医師から指示された病状の範囲にあることを確認し、持続点滴中のカテコラミン(注射薬)の投与量の調整を行う。
持続点滴中のナトリウム、カリウム又はクロールの投与量の調整
医師の指示の下、手順書により、身体所見(口渇や倦怠感の程度、不整脈の有無、尿量等)及び検査結果(電解質、酸塩基平衡等)等が医師から指示された病状の範囲にあることを確認し、持続点滴中のナトリウム、カリウム又はクロール(注射薬)の投与量の調整を行う。
持続点滴中の降圧剤の投与量の調整
医師の指示の下、手順書により、身体所見(意識レベル、尿量の変化、血圧等)及び検査結果等が医師から指示された病状の範囲にあることを確認し、持続点滴中の降圧剤(注射薬)の投与量の調整を行う。
持続点滴中の糖質輸液又は電解質輸液の投与量の調整
医師の指示の下、手順書により、身体所見(食事摂取量、栄養状態、尿量、水分摂取量、不感蒸泄等)等が医師から指示された病状の範囲にあることを確認し、持続点滴中の糖質輸液、電解質輸液の投与量の調整を行う。
持続点滴中の利尿剤の投与量の調整
医師の指示の下、手順書により、身体所見(口渇、血圧、尿量、水分摂取量、不感蒸泄等)及び検査結果(電解質等)等が医師から指示された病状の範囲にあることを確認し、持続点滴中の利尿剤(注射薬)の投与量の調整を行う。
抗けいれん剤の臨時の投与
医師の指示の下、手順書により、身体所見(発熱の程度、頭痛や嘔吐の有無、発作の様子等)及び既往の有無等が医師から指示された病状の範囲にあることを確認し、抗けいれん剤を投与する。
抗精神病薬の臨時の投与
医師の指示の下、手順書により、身体所見(興奮状態の程度や継続時間、せん妄の有無等)等が医師から指示された病状の範囲にあることを確認し、抗精神病薬を投与する。
抗不安薬の臨時の投与
医師の指示の下、手順書により、身体所見(不安の程度や継続時間等)等が医師から指示された病状の範囲にあることを確認し、抗不安薬を投与する。
抗癌剤その他の薬剤が血管外に漏出したときのステロイド薬の局所注射及び投与量の調整
医師の指示の下、手順書により、身体所見(穿せん刺部位の皮膚の発赤や腫脹の程度、疼とう痛の有無等)及び漏出した薬剤の量等が医師から指示された病状の範囲にあることを確認し、副腎皮質ステロイド薬(注射薬)の局所注射及び投与量の調整を行う。
特定行為ができる看護師がいることによるメリット
看護師が特定行為ができることにより看護師の業務範囲が拡大し、医師の業務を一部を請け負うことができるようになります。これにより医師が多忙の場合であっても、特定の行為に限っては看護師が処置を行うことができるようになります。
具体的な活躍の場所としては、訪問看護ステーション、介護施設、診療所、在宅医療など医師が不足がちだったり、常住することが難しい施設であっても、特定行為のできる看護師がいることにより効率的な医療を提供することができるようになります。
また、日々患者に接している看護師がある程度の行為ができることにより、より患者に寄り添った最適な医療を提供することができるようになります。
看護師の特定行為研修制度における問題点
看護師の特定行為研修制度には問題点もあります。38の特定行為以外には対応することができず、抜本的な医師不足の解消ができるわけではありません。
医師免許を持たないものが、診療の領域に一部でも踏み込むことによるリスクもあります。患者側には医師ではないものが家族の診療にかかわる不安もあります。特定行為を行う看護師やその所属する施設側にも事故が起きた際のリスクがあります。
そして、そもそもの問題として看護師も不足しています。不足する看護師の領域を広げたところで、医療を必要としている人へ十分な医療が提供できるわけではありません。医師不足の解消とともに、看護師不足も解消し、医療を受ける患者側にもそれに協力するような理解と行動がますます求められるものと思います。